『かしこ』

これは、『拝啓 貴方様』の続編です。

しかし前回と違うのは、そこから一歩前に進めたように思えることです。

自分とは関係のなかった風景を辿っていくうちに、

そこに不思議な充足感を見出しました。

過去や孤独を超えられる力強さを、風景の中に見つけられたのかもしれません。

『さようなら』に、もし準備がいるのだとしたら、

これがその準備だったように思います。

そして、夜が朝になっていくのを何度も見ていくうちに、

『さようなら』は『ありがとう』だと気づいたのです。

 

 

-『かしこ』/2006年/作品集 -

『拝啓 貴方様』

これは、誰かを愛することで

自分とは関係のなかった過去をも

いとおしく思ってしまう、

人を愛するおかしさと

寂しさを詰めた作品です。

何かを伝えたいのではなくて、

貴方が見上げた空が、

ここにある空に繋がれば嬉しく思います。

 

 

-『拝啓 貴方様』/2005年/作品集 -